▼いま7月25日水曜の未明3時35分。
大阪にいます。
1061年の歴史を数える天神祭の船渡御(ふなとぎょ)、陸渡御をきょうに控えた大阪は、いまはまだ寝静まっています。
ぼくにとっても命の記念日ですが、それについては淡々と受け止めています。
おととい7月23日の月曜に、和歌山を訪れて、「救国 超経済外交のススメ」(PHP)のサイン会をおこなってきました。
長い列をつくってくださった読者のなかに、両肩を覆う大きな白い治療薬を張っている女性がいらっしゃいました。
みなと同じように、ぼくの前に座られ、「事務所にいましたら、突然、精神に障害のある方が、侵入してきて、殴られ、いま入院中です」とおっしゃった。言葉が奔流のように噴き出そうとするのを、意志の力で懸命に抑えておられるような様子です。
なんと、その病室から抜け出て、このサイン会の会場、「宮脇書店」和歌山店に来てくださったのです。首から両肩にかけての怪我では、洋服を着るのも、たいへんだったのではないかと思いました。
この女性の「救国」に、ぼくの、ささやかな座右の銘を入れ、その方のお名前を真ん中に書き、左脇にぼくの名を小さめに入れ、そして「体が早く恢復しますように」という祈りの気を込めて、落款を押して、「救国」をお渡しすると、「青山さんの元気をいただきに来たんです。ハグしてください」とおっしゃいました。
ぎゅうぎゅうにハグを差しあげました。
▼そして、「甲子園球場でタイガースの試合をみていたら、試合に昂奮した後ろの席の男性に理由もなく殴られた女性もいらっしゃいます。その女性も後遺症に苦しみつつ、立ち直られていきましたから、きっと大丈夫です」と申しあげました。
球場で事件に遭われたこの女性は、後遺症で自宅にいらっしゃったとき、テレビも視る体力も気力も奪われていた時期なのに、たまたまテレビでぼくのつたない話を聞かれて、元気をみずから取り戻していくきっかけになさったそうです。
(この方が、もしもこの地味ブログを読まれていたら、書き込みをくださいね。その後どうなさっているか、正直とても心配していますから。)
和歌山でのサイン会で、同じような事件に遭われた方とお会いして、社会の重い病を考えるとともに、魂の触れあいも、あらためて感じたのです。
ぼくの、ささやか過ぎるエネルギーで、何がどうなるわけでもありませんが、単なるサイン会ではなくて、こうした魂の交流ができるということに、天に深く感謝しています。
この、事件に遭われた女性だけではありません。
進路をしっかり考えつつ、悩みも多く抱えている最中の男子高校生と、眼を見て本音で話したり、仲のよい家族の、いちばん小さな赤ちゃんをぼくの腕にだっこして全員で写真に収まったり、それぞれ、ごく短時間ながら、胸に刻み込むような交流ができました。
これは、今回のサイン会を100人に限定したために可能になったことでした。
ただ、どんなに人数が多くても、ぼくの基本姿勢は同じです。
一筆書きのような、楽に書けるサインだけして終わりにするのじゃなく、向かいあった方のかけがえのない名前を聞き、そのお名前を中央にいちばん大きく書き、右側には、ぼくがつたないなりに自作した銘を書き、左のすこし下げたところに、おのれの名を書く。日付も忘れず入れる。
時間が許せば、気を入れて、落款を押す。
そして、必ず握手をし、できればひと言だけでも、言葉を交わす。
よっぽど時間が限られているときは、ぼくの名と日付だけになることも、稀にあります。
時間の制限の具合によって、実行できる項目が変わることは避けがたいですね。飛行機も新幹線も待ってはくれませんし、都内で開くときも、サイン会のあとにほとんどの場合、次の待ったなしの日程が入っています。
だけども、一筆書きのように楽に署名することだけはしません。
▼おとといの和歌山でのサイン会は、人数限定ですから、いつもに増して交流を心がけました。
そのために、ふだんよりさらに時間は掛かり、列の最後のほうの方はたいへんだったと思います。
辛抱強く待っていただいて、こころから、ありがとうございました。
午後6時半に開始して、気がついたら、午後9時を大きく回っていました。もちろん、休憩なし。
日本の出版界でのサイン会はふつう、新刊が発行されてすぐの間しかやりません。
「救国」や「ぼくらの祖国」(扶桑社)について今でもサイン会が開かれるのは、第一には、来てくださる読者がいるからです。
そして編集者や書店主の熱意がないと、読者に来てくださる気持ちがあっても、実現しません。
今回の和歌山でのサイン会は、版元のPHPの熱心な編集者、Sさんと、宮脇書店和歌山店の書店主Nさんの志がなければ、決して実現しませんでした。
いや、実名を出しても大丈夫でしょう。編集者の白地さんと、書店主の西田さんです。
サイン会が終わり、西田さんに、和歌山の名物ラーメンをご馳走になって、疲れが和らぎました。
▼さて、今度は、「ぼくらの祖国」のサイン会が徳島であります。
徳島で、全日本教職員連盟(非日教組の教員団体)の「全国教育研究大会」があり、そこで講演するのに合わせて、行います。
徳島は、共同通信の記者時代の初任地です。ぴっかぴかの1年生、新米記者として26歳で着任しました。
そしていきなり、徳島としては空前の大事件だった、大病院の看護料巨額不正事件と国立・徳島大学医学部の前代未聞の紛争にぶつかりました。
当時、真正面から議論を交わし、たいせつな情報元にもなってくれた医学者らと、いまも交流があります。
以下は、版元の扶桑社のHPに掲載されている情報です。
〜ここから引用〜
【ぼくらの祖国】サイン会開催!
青山繁晴さんサイン会
【 日 時 】 8月 5日(日) 14:00 〜 16:00(予定)
【 場 所 】 平惣 徳島店
【 定 員 】 先着100名様
【 要 整 理 券 】 同書店にて本書をお買い上げのお客様に参加整理券を配布します。
【お問合わせ先】 平惣 徳島店 TEL 088-622-0001
〜ここまで引用〜
扶桑社の編集者からのEメールによると、徳島以外からも参加できるよう、書店では電話予約も受け付けるとのことです。
▼ぼくが、みなさんと直接、魂をかわす、もうひとつの大切な機会は、独研(独立総合研究所)が自主開催している「独立講演会」です。
ふだんの講演は、どうしても厳しい時間制限があります。
たとえば、昨日この大阪で開かれた「関西総合防衛セミナー」では、45分間の講演でした。
ぼくの次に講演なさる赤星・前海上幕僚長(国際社会では、退役海軍大将)の無言の厚意に勝手に甘えて、10分延長してしまいましたが、それでも1時間に満ちません。
そこで、いわば時間無制限の講演会でみなさんと心ゆくまで一緒に考えようという志で、独立講演会をスタートさせました。
もっとも長くて6時間連続で講演しました。この頃は、参加者の疲労を考えて4時間半連続ぐらいにとどめていますが、それでも講演会の常識破りです。
この独立講演会の第9回の申込みも、7月23日の正午からすでに始まっていますが、この地味ブログが告知ばかりになってしまうのが嫌だったので、すこし情報のアップが遅れてしまいました。
どれぐらい残席があるか分かりませんが、参加をお考えなら、下掲の情報を見てください。
これは、独研(独立総合研究所)の公式HPの情報に、すこしだけ書き足しています。
第9回独立講演会
【講演日】
2012年8月19日(日)
【講演時間】
開場:12時30分
開演:13時00分 〜 17時30分
【講演予定内容】
「原子力、メタンハイドレートをはじめエネルギーの現在、未来を考える 」
(あくまで仮予定です。臨機応変に変更することがあります)
【場所】
三宮研修センター 予定
〒651-0085 神戸市中央区八幡通4丁目2番12号
TEL:078-232-0081
三宮駅中央改札口からフラワーロードを南へ徒歩5分。
地下道を利用する場合、神戸市役所方面の[C5]出口。
詳細は、こちらへ。
【受講料】
一般 5000円 / IDC(インディペンデント・クラブ)会員 4000円
【定員】
250名
※定員を超えた場合、抽選となりますのでご了承ください。
【申込期間と方法】
2012年7月23日(月)正午〜 2012年7月30日(月)正午
独研HP内の申し込みページにある申込みフォームボタンを押してください。
その際、注意書きを良くお読みください。
【抽選結果通知】
当選・落選発表は、7月31日以降、メールにて連絡いたします。
*以下、入金方法などは、独研HP内のページをご覧ください。
【問い合わせ先】
独立講演会 運営事務局(担当・玉川)
kouen@dokken.co.jp
※スタッフは最小限度の人数しかいない、と言うよりは、玉川ひとりです。ふひ。
電話、ファックスでのお問い合わせには、どうにも対応できないので、上記のEメールでお願いします。
※独研の総務部も、まさしく最小限度の人しかいません。まさか、ひとりじゃないけどね。ふひふひ。
だから、この独立講演会については総務部は対応していません。分かってくださいね。
▼では、徳島でのサイン会、神戸での独立講演会でお会いしましょう。
今回はたまたま、いずれも西日本の会場ですが、関東をはじめ、ほかの地域でもサイン会や、独立講演会を開いていきます。
徳島では、IDC(インディペンデント・クラブ)の会員のための少人数イベントも別途、あります。
会員のかたがたは、独研からのお知らせに注目なさってください。
*写真は、徳島も神戸も行けない繁子のふて寝シーンです。
いや、違います。
緑豊かな自然があって、車で連れて行ける範囲のところで、ぼくとの散歩をたっぷり楽しんだあとに、ホテルのベッドで、くつろぐ青山繁子です。(もちろん、わんこOKのホテルです)
ベッドカバーに、まるで布団に入るかのように自分で入っています。
黒い眼が、満足そうです。