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これで、次は、小説なのです。ぎゃー、たのしみです。



▼いまパリ時間の2月29日午後2時半、フランス電力公社(EDF)の本社での議論を終えて、パリ市内の古いホテルのバーにいます。
 EDFは、シャンゼリゼの通りから、すこしだけ奥まったところ、あの凱旋門にも近い場所にあります。そこでの議論は、予想したよりさらに意味のあるものになりました。

 きのう訪ねたシュー原発でも、廃炉などの現場を克明にみたあと議論しましたが、ベルギーとの国境も近いシュー原発の現場では、英語が通じない場面も多く、いくつかは疑問も残りました。
 きょう巨大な多国籍企業であるEDFの本社では、さすがに昨日よりはずっと英語が通じて、シュー原発での疑問もかなり解けました。

 話題のひとつは、もちろん、福島原子力災害をどう捉えるかということ。
 日本人の奥さんを持つ、若手のEDF中堅幹部から、とても印象的で、本質的な質問も受けました。

 こういう成果は、さまざまに活かします。
 一切の費用を独研(独立総合研究所)が負担している、まったくの自主調査だけど…
 …内閣府の原子力委員会(そのなかの原子力防護専門部会の)専門委員や海上保安庁の政策アドバイザーといった公職を通じて政府に意見をするためにも活かすし、
 …独研が遂行している、北朝鮮によるテロの脅威などに真正面から対抗するための危機管理などの実務にも活かすし、
 …それから、独研から発行している会員制レポートには詳しく、ありのままに書き込むし、
 …そして、関西テレビの報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」の「青山のニュースDEズバリ」のコーナーをはじめ、つたない発信にも活かすし、
 …いろんな講演会にも活かします。


▼さて、このホテルはたいへん古いのに、バーではモバイル・パソコンがネットにつながります。
 繋いでみて、かなり、驚きました。

 ひとつは、この地味ブログへの書き込みが多く、そして、たくさんのかたが新々刊「救国 超経済外交のススメ」(PHP)の出版をわがことのように、一緒に喜んでくださっていることです。
「何だ、その程度のサプライズか」と言われるかな、言われるだろうなと思っていたのに、びっくりです。

 さらに、アマゾンでもう、すでに予約受付が始まっています。
 そこには発売日が3月14日となっていて、実は「3月半ばぐらい」としか知らなかったので、これもびっくり。

 これらを見ていて、ふと気づいたのですが、補足しておくことが、ふたつあります。

▽ひとつは、この新々刊は、経済誌に連載していたコラムが元になっていることです。
 しかし、ありのままに申しますが、その元があったから急ぎ、発刊できるのではありません。
 この本がどうやってできたかは、その「救国 超経済外交のススメ」のなかに詳しく記しましたが、いったんすべてのコラムをバラバラにして、句読点の打ち方ひとつにも徹底的にこだわって全面的に書き直しましたから、白紙の状態で書いていくより、時間と手間がかかりました。
 ぼくは、白紙の状態で書くのは、とても早いです。
 どんな原稿でも、今回に限らず、見直しにこそ非常に時間を掛けます。

 PHPの編集者Sさんには、ひょっとして「元のコラムがあるのだから、青山さんに無理を承知で出版を提案しても、どうにかなるのでは」といった考えがあったのかもしれません。
 しかし、ぼくが逆に徹底的に時間と手間を掛けているので、びっくりして『このままでは、原稿があがってこない』と心配し、あえて紀伊國屋のイベントを企画したのでしょう。

 そして、おそらくは、今となっては「青山さんはなるほど、そういう書き手なんだ」とあらためて考えているのかもしれませんね。

 実は、このあと飛行機に乗って成田に着いたら、空港にその編集者Sさんが来ている予定になっています。
 そしてSさんから、「救国 超経済外交のススメ」のゲラを受け取り、深夜までにすべてのページに最後の赤ペンを手書きで入れて、ふたたびSさんに手渡すことになっています。
 サーカスに近いようなことです。

 しかし、この苦行をくぐり抜けたら、物書きとしては、今度こそ小説を仕上げられます。
「平成」のあと、7年間ほど抱えたままで、実はほとんど完成している短編をまず、仕上げます。
 登場人物は、25歳の女性と、80歳を超えたおばあさん、ほとんどそれだけです。


▽もうひとつは、紀伊國屋のイベントは、この編集者Sさんから来たEメールによると、参加費が1500円ほどかかるそうです。
 このイベントは、紀伊國屋とPHPのジョイント・イベントであり、費用の設定などに独研は一切、関与していません。
 サイン会ではなく、ミニ講演でもなく、1時間半の講演会のイベントだから有料になるようです。
 またいずれ、無料のサイン会(つまり、本を買う費用だけのサイン会)もきっと、ありますから、この1500円がちょっと苦しいかたは、その機会を待ってくださいね。

 こんなことを、あまり言ってはいけないのかな?
 書店と出版社からすれば、イベント開催の邪魔になるかな?
 しかし、遠くから高い交通費をかけて新宿まで来られるかたもいるようですから、お伝えしておきます。


▼この午後のバーには、わんこも来ているし、子供もいます。
 おもしろいですね。
 これもパリならでは、です。

 格納容器に入ったショックからか、高熱が出ている青山千春博士は、すこしだけは熱が下がり始めています。
 プロの科学者である彼女も、ふだんの専門分野とは違う分野の激しい議論や、苛酷な現場での実地検分は、たいへんだったと思います。
 ぼくは帰国しても休みませんが、独研の自然科学部長である彼女には、すこし休むよう業務命令を出すつもりです。

 さぁ、祖国へ帰ります。
 そして、まもなく3月11日が、めぐってくる。

 ぼくは去年の3月11日から、黒ネクタイを続けてきました。
 喪われた2万人近い同胞(はらから)に、ろくに何もできないぼくとして、せめて一周忌が終わるまでは、弔意を示したかったからです。
 お正月にも黒いネクタイだったために、ひとに、迷惑もおかけしました。
 この一本の黒ネクタイを3月12日に外します。
 そして、そこからこそが、勝負です。

 祖国よ、甦れ。
 独研よ、戦え。
 おのれよ、胸のうちの青春のまま、駆け抜けろ。最期の刻(とき)まで、駆けてゆけ。
 
 


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