▼胸が潰れるという悲しい言葉があるけれど、流通ジャーナリストの金子哲雄さんの突然の訃報には、胸が潰れた。
先日に、TBS番組の控え室で、久しぶりにお会いしたとき、ずいぶんすっきりとスリムになられていて、最初は誰か分からなかった。
「温野菜を食べるダイエットで13キロも痩せたんですよ。無呼吸症候群も、おかげで良くなりました」と明るく語られ、ぼくは、自分もかなり重症の無呼吸症候群であることもあって(ただし、ぼくは肥満が原因ではなく、原因不明)、「へぇー、凄いなぁ」と感心した。
金子さんは、その控え室に居たみんなに、「毎週木曜日のザ・ボイス(ニッポン放送のラジオ番組。ぼくが木曜にレギュラー参加している)を必ずぜんぶ聴いて、言葉もぜんぶ覚えて、自分の出るラジオ番組で、勝手に南青山繁晴でーすと名乗って(南青山は都心の地名。それに引っかけたジョーク)、青山さんの受け売りの話をするんです。ふはは」と楽しそうに何度も、ほんとうに楽しそうに何度も話された。
ぼくは、明るい一方にみえる金子哲雄さんの日本を憂う志を、はっきり感じた。
すっきり痩せて、さらに若返った感じで、これからもっと活躍されるだろうと考えた。
▼それが、難しい病気もあっての痩せ方だったとは、いまだに信じられない。
同志をひとり失った気分です。
次のような弔電を打とうと思います。
「われらが金子哲雄さん、先日に番組でご一緒したばかりなのに、どうにも信じ
られません。すっきりと明るく、楽しいお話を聞かせていただきました。そのま
ま、手を振って旅に出られたのですね。金子さんらしい好奇心いっぱいの旅にな
るよう、こころからお祈りします。独立総合研究所社長 青山繁晴 拝」