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Channel: ON THE ROAD 青山繁晴の道すがらエッセイ(31DEC14まで/新ブログshiaoyama.comに移転済み)
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真夜中の書斎にて

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*この地味ブログのエントリー(書き込み)は、途中まで書いてそのまま完成させず、したがってアップしていないという文章が、かなりあります。
 それは独研(独立総合研究所)が配信している会員制レポートの東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)でも、実は同じです。

 そして、TCRは有料レポートですから、その会員は、個人会員であれば身銭を切られていて、法人会員であれば責任ある支出をなさっています。TCRの完成と配信が、あくまで優先されねばなりません。
 しかしTCRの完成を急ぎつつ、このブログについても、途中まで書いたものはそのまま眠らせず、時間はかかっても、仕上げてアップしていきたいと思います。

 先日の京都のサイン会でお会いした、あるご夫婦の奥さまが「ブログをやめないでください。わたしにとっては生きる支えなんです」とおっしゃいました。
 正直、こんな何でもない地味ブログに、そんな値打ちがあるとは思えません。謙遜ではありません。
 しかし、ひとりでも、そう思うひとがいて、そして、はっとするほど真摯な表情でした。
 だから、未完成のまま眠らせていた書き込みを、すこしづつ完成させてアップしていくことにしました。

 今日(4月24日火曜)未明2時半ごろのエントリーは、そのうちのひとつです。





▼ぼくは、「テレビやめたい病」患者です。

 まぁ、こう書くと、ほんとうに「病気だ」、「何の病気か」と思い込まれるひともいらっしゃるので、やむを得ず蛇足で申すと、おのれがテレビ番組に参加(出演)するのをやめたいと、日常的に感じている、ということです。

 もっと正確に言うと、「実際の放送時間より多く収録して、それを短く編集して放送するテレビ番組」には、出たくない、出たくないと、考えがちです。

 いまは4月14日土曜の夕刻、先ほどまでテレビ朝日にいて、「TVタックル」の収録に参加していました。
 テレビ界では長い歴史をもつこの番組は、長めに収録して、それをテレビ局が編集してから放送します。


▼この「TVタックル」の収録に参加して、それが放送されると毎回、やって来る反応があります。

【その1】「なぜ、もっと発言しないのか」、「発言が少なかったのは残念です」

【その2】「青山さんは大阪の番組ではあんなに元気に発言しているのに、東京では静かにしているのはなぜか」、「大阪では言えるけど、東京では言えないのか」

【その3】「あそこで、○○のように発言して欲しかったのに、無かったのは残念だ」、「なぜ、あのような意見に反論しないで黙っていたのか」

 …この3種類の反応は、必ず、来ます。
 放送のあと、これが来なかったことは一度もないと思います。
 こうしたEメールや書き込みに、これを機会に、すこしだけですが答えておきましょうね。

【その1について】…いつも嫌がられるほど発言はしています。編集でカットされるだけです。
 きょうも、スタジオで同じテーブルに一緒に並んでいる方々のうち、何人かには、はっきりと嫌がられながら発言はしました。
 嫌がられていることに充分に気づきながら、内心でおのれの尻を無理にでも叩いて発言をしました。
 参加(出演)を引き受けた以上は、それが、視聴者への責任だからです。テレビ局への責任ではなく視聴者への責任です。
 そして、編集には一切、関与できませんし、仮にできたとしても、関与しません。編集権は、フェアに申してテレビ局にあります。

【その2について】…ぼくは、大阪であれ東京であれ、海外であれ、とにかく場所によって発言を変えることは、決してしません。
 視聴者が誤解していると言うより、実際にテレビ出演者のなかに「大阪だから言える」とか「大阪は言いやすい」とか「これは東京では言えない」と発言なさる方がいるから、こういう話になると思いますが、それはその人のことであり、言わばその人の生き方です。
 ぼくは一切、何も、変えません。
 これも編集ぶりで、そのように見えるひとには見えてしまうのでしょう。

【その3】…こういう風に指摘された○○は、ほとんどの場合、これは驚くほどほとんどの場合、実際にはスタジオで発言しているのです。
 それを、ぼくの与(あずか)り知らないところでカットされているだけです。


▼TVタックルでは、ぼくはかつて、発言の95%をカットされたことがあります。
 思い込みではなく、当時の秘書さんが、その真面目な人柄のままにストップウオッチで計った結果です。ぼくはその放送を視ていないのですが、さすがに、いくらか驚きました。
 その後の放送を視てみると、確かに、その回もほとんど発言しなかったような編集になっていました。そのわりに、笑っている顔は何度も大写しになるんですね。
 まぁ、テレビのせいで「いつも怒っている怖い人」と思われているから、そのほうがいいのかも知れません。(冗談です)

 そして、それとは直接、関係はありませんが、2年ほどまったく参加しなかった時期があります。
(テレビ局の側からもオファーが無かった気もしますが、独立総合研究所の秘書室によると、「無かったわけじゃありません。日程が合いませんでした」ということです)


▼それがこの頃、また少し参加するようになっているのは、なぜか。
 実は、理由は、現在ではたった一つです。

 沖縄の知友のかたがたが「TVタックルに出てくれないと、青山さんの顔を見る機会も、話を聴く機会もない」とおっしゃるからです。

 関西テレビ(大阪)の報道番組「スーパーニュース・アンカー」はもちろん沖縄では放送していません。というか近畿圏しか放送していません。
 テレビ大阪の「たかじんnoマネー」は、北海道から鹿児島まで、放送日はバラバラですが、かなりの数の地域で放送しています。だけども東京と沖縄では、まったく放送していません。
 沖縄の知友は「タックルは、沖縄でもみんなが視ている。そして、青山さんの出る番組は、沖縄ではタックルしかないんだから、嫌でも何でも出てください」と言います。


▼TVタックルは実は、画面に出ることのないスタッフたちが、ずいぶんと努力している番組です。
 客観的に考えて、つくづくそう思います。だから長続きしているのでしょう。

 まず、ひとつのニュースをめぐって、その背景の歴史や、マイナーな意見まで、実によく勉強しているスタッフが何人もいます。
 ほかのテレビ番組では、ディレクター陣などに、あまりに不勉強な人がいて、あらためて驚くということがそう珍しくないけど、タックルではまったく一度もありません。
 そして前述の編集の問題についても、かつては収録時間がとても長くて、ぼくの発言が95%カットされたのも、その頃です。
 しかし最近はずいぶん、収録時間が短縮され、その意味では変わりました。
 もちろん、生放送と違って、発言が恣意的に編集され発言の意図が、ぼくに限らずどなたもなかなか伝わらないという根本は同じです。
 しかし、努力はなされているのです。

 それでも、進んで出たいという気持ちはありません。
 それはTVタックルだけではなく、「アンカー」でも「たかじんnoマネー」でも変わらないのです。
 ぼくは、目立つのがかなり嫌いなので、それが理由の第一です。
 そして、日本のテレビ番組では専門家同士、実務家同士が議論する機会はとても少ないことが理由の第二です。

 ラジオは好きなのです。
 目立つ感じが少ないし、テレビよりはしっかり話せる機会があります。
 しかし、あまりオファーがありませんでした。ぼくと独研(独立総合研究所)は芸能プロダクションとは一切、関係を持たないので、たまたまオファーが一方的にテレビ局やラジオ局から来ない限りは、テレビともラジオとも無縁です。

 最近やっと、ニッポン放送から「ザ・ボイス」という生の報道番組から突然、オファーがあり、今、木曜日の午後4時から5時半まで、レギュラーで参加しています。
 しばらくは、先に決まっていた講演が多くて、参加できないことも多かったのですが、この頃はまともにレギュラーとして参加しています。
 ホントは、もっと、まったり話せる深夜のオールナイト・ニッポンにも参加したいのですが、さぁ、プロダクションのプッシュがあったりしませんからね。
 その機会があるかどうか。


▼…ここまで書いたところで、仕事に戻り、独研(独立総合研究所)から配信している会員制レポートの「東京コンフィデンシャル・レポート」(TCR)のための情報収集と執筆に入りました。
 そして日付が4月15日の日曜に変わりました。
 この日曜は、和歌山に飛び、「ぼくらの祖国」(扶桑社)のためのサイン会&講演会があるので、朝8時には自宅を出ねばなりません。

 そのまま夜を徹して仕事を続け、夜が明けると、青山繁子(ポメラニアン)を散歩に連れて行き、散歩から戻ると、喜んだ繁子に、感謝のシルシなのか顔をハゲシクなめられてから、パソコンに戻ると、この地味ブログに書き込まれたコメントのなかに、次のような一節がある印象深いものがありました。

〜以下、引用〜

2012-04-15 06:16:49

青山さんこんにちは。
(以下、書き込んだ方のプライバシーに直接、つながりすぎるところが沢山あったので、大幅に中略…)

 辛い記憶というのは時間と共に薄れていくものですね。
 私もそうでしたが、結婚して子供2人に恵まれ、さて子育てという時に、(子供の頃に両親から理由なき虐待を受け続けたという)昔の記憶が次々に蘇り、つまりフラッシュバックを起こし、酷い鬱とパニック障害でぶっ倒れ、15年以上薬漬けになりました。
 虐待によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)との事でした。
 良い心療内科医に出会えなかったのも不幸だったかも知れません。
 配偶者にも子供にも多大な迷惑をかけてしまいました。今、家族4人仲良く過ごせているのが不思議です。これは、自分が辛いだけでなく、見守る方も更に辛いでしょう。家事も育児も手抜きするしかなかったので。

 このままでは廃人同様になってしまう、何とか薬の副作用や依存症、離脱症状から抜け出して、断薬に成功し、自分なりに精神的にも何とか開き直り、どん底より立ち直ったのがほんの3〜4年前です。
 私は(拉致被害者の)横田(めぐみ)さんと同じ64年生まれなので、もう40代半ばに差し掛かっていた頃です。
 人生を最初からやり直せる訳がありません。半世紀近くいわゆる空白期間を生きてきて、これから一体何を目標に、生きがいに、何を頼りに生きていけば良いのか模索していた時、たまたま目に入ったのが関テレのぶったま!あるいは水曜アンカーの青山さんだった、という訳です。
 それまで何も世のため人のために生きて来なかった、正直に言えば一日を生きるだけで精一杯であったのが、わずかでも人の役に立つことができればと、そういう経緯です。

(このあとも、このかたのプライバシーをまもるために大幅に省略します。引用した部分には、ぼくが注釈を入れた部分があります)

〜引用、ここまで〜


…このような書き込みをいただいたのですから、ぼくは「テレビ出たくない病」を治さねばならないのかも知れませんね。

 ゆっくり考えます。

 写真は、ぼくを見る繁子です。
(大きな写真ですが、携帯電話で撮った写真ですから、そう重くないと思います。写真をアップするときはいつも、この地味ブログを読まれるひとが重くて困ったりしないようにと考えますが、繁子は体重も重くないですし…ん? 違うか)



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